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1490 WBCB(在・米国ペンシルヴェニア州 Levittown)

標記の局 WBCB は、オンラインで聴くことができるローカル放送を探していた最初の頃にSHOUTcastのディレクトリで見つけた(現在、残念ながらmp3でのストリーミングは止まっている。たしか一時期はwma・ra・mp3の3つのフォーマットを同時に使ってライヴ・ストリームを流していた)。局の所在地は、米国東部・ペンシルヴェニア州の郊外住宅都市(後述)レヴァタウン(と聞こえる、原綴:Levittown)。放送を聴いているとわかるが、完全に地元密着型の中波局のようで、同局の公式サイトには「WBCB sends that local feel over the air(WBCB は懐かしの地元気分を電波に乗せて)」という、自局をとり上げた新聞記事のスキャン(出典が明記されていないが、地元紙 Philadelphia Inquirer に載ったもののようだ)が控えめに掲げられている。

Local feel over the air

今でも時々は思い出したように聴いている。放送のかなりの部分は(定番のというべきか、あるいは古めかしいというべきか)ディスクジョッキー形式が占めていて、流れる音楽は1950年代(だと思うのだが)からせいぜい1980年代くらいまでのアメリカン・ポップスがほとんど。とくに現地時間の深夜(日本時間の夕方から夜)には、オールディーズがほぼノン・ストップで流れることが多い。現地時間の昼間にはトーク・ショウが中心で、それも時々聴いてみるかぎりでは、地元や近郊の住人たちからのコール・インでの電話の中身もDJが扱う話題も、いかにも比較的豊かな米国東部の穏健で平和な雰囲気を思わせるものが多い。実際に聴いてみたことはないが、番組表では日曜日にはきちんとキリスト教の Church Service 関係の番組もあるし、NFLの(アメリカン)フットボール(近郊の大都市フィラデルフィアは Eagles がフランチャイズしている)から地元の高校レベルまで、スポーツ関係の番組もかなりの品揃えのようだ。

聴いていて(あるいはただぼんやりと流しておいて)、なんとなくほっとできる。流行の最先端を行くような音楽は全然流れないし、ほぼ毎正時のニュースもシンディケイトした USA Radio Network など全国レベルのもので、その点とくに際立った特徴はないと言っても構わないだろう。ウェブサイトを見ても、お世辞にも垢抜けているとは言えない。でも逆にそういったところがいいのかもしれない。電波出力が1kwと低いためサービス・エリアがさほど広くないだろうから、コマーシャルは当然ほとんどが地元の商店や自動車ディーラー、それに病院(! アメリカの放送では、ラジオ・テレビを問わず弁護士と医者(と占い師/霊能者(psychic))のCMがたくさん流れるのに驚く)などのもの。ローカルな雰囲気に満ちている。局名アナウンスは随時「1490 WBCB(フォーティーンナインティ、ダブリュビースィビー)」などと出る。

「ローカルな雰囲気」といえば、このラジオ局のディレクター兼ディスクジョッキーでもあるという Paul Baroli Jr さんが参加する地元バンド、The Levittown Highlanders のオリジナルご当地ソングのCMも、最近ときどき流れている(アルバムが完成したとのこと)。「Levittown blues...」という歌詞のリフレインがある売出し中(?)の曲は、実はブルーズではなくてロックンロールだが、DJ名を「Big Kahuna」という Paul さんは、バンドの公式サイトのプロフィールによればアメリカに多い Deadhead(Grateful Dead という長い歴史を誇るバンドの熱狂的なファン)のようだ。

放送のライヴ・ストリームへは同局サイトの「Listen Live」のページから。Windows Media Audio 形式なので、ストリームへのリンクをクリックすると Internet Explorer からであれば Windows Media Player の小窓が出て自動的に接続され、番組が聞こえてくる。サーバは概して安定しているようだ。この局のストリームは、ほかの多くのラジオ局のそれと同様にビットレイトが16キロビットと低いので高音質は望めないが、逆にこのためにAM放送のそれこそ“懐かしい”音にちょっと似た鳴り方がする。放送スケジュールは同じくサイトの「Schedules」から参照可能。

ちなみに、ローカル放送を聴くときには時差の計算が案外面倒ですが、私は time and date.com で、日本・北米の東海岸と西海岸・英国などいくつかの地点を登録(ブラウザのCookie利用のためログイン不要)のうえブックマークして、一覧で見られるようにしています。

以下、大幅に脱線。

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ネットで聴くローカル放送

ブラウザの古いブックマークに「Yahoo! Radio」(http://radio.yahoo.com、在りし日の姿は Internet Archive にて、2002年7月25日付のスナップ・ショットなどで見ることができる)が残っている。いや、どちらかというと感傷から残してある。いま同じURLを訪れると、自動的に「LAUNCHcast Home: LAUNCH - Music on Yahoo!」というページに飛ばされる。元の Yahoo! Radio は、私がインターネット配信による放送に惹かれるきっかけのひとつになったサイトだった。短時日で急激に変化するのが常態のネット上のこととはいえ、いつの間にか内容も見映えもまったく様変わりしてしまった新しいページを目にした時は、いささかがっかりした。

Yahoo! Radio のローカル放送ディレクトリ

Yahoo! Radio は、私が憶えているかぎりでは、ネット上/地上局を問わずストリーミングで番組を流している放送局と、それらのライヴ・ストリームへのポータルだった。局の公式ウェブサイトがあればそこにリンクが張られ、所在地や番組タイム・テーブル、局舎やスタジオの写真、スタッフの顔ぶれまで見にいくことができる。また、ストリームへのリンクをクリックすれば適宜プレイヤーかプラグイン(ただし、たしか Yahoo! へのログインが必要だった)が起動されて、手軽にちょっと聴いてみることもできた。

私が気に入っていたのは、このポータルが「Public [Radio?]」だったか「Community [Radio?]」だったか、そういうカテゴリを独立に立てていたところだ。このカテゴリには、せいぜい半径数十km程度の比較的狭い範囲を聴取ターゲットにしている(らしい、ほとんどは米国内の)コミュニティ・ラジオ局がリストアップされていた。音楽のストリーミングを選ぶにはほぼ SHOUTcast のディレクトリで事足りていた一方で、安楽椅子探偵ならぬ自室で居ながらにして旅行気分という、相当に能天気な企てに必要な情報は、そこではちょっと得にくい。Yahoo! Radio のこのカテゴリは、それを補うのに好適だった。

地元色の豊かな放送を楽しむ

元々、ラジオに夢中になっていた子供の頃から、各国/各地の地元放送局のローカル・ニュースや天気予報、民放なら地元のコマーシャルなどを、短波や中波で聴くのが好きだった。インドネシアやパプアニューギニアなどの広範に散らばった島々から成る国や、オーストラリアのように広い面積に人口が小さな単位で散在している国を除いて、リージョナル/ローカルな放送を短波を使って行なっているところは少ない。いきおい、中波を中心とした低い周波数での遠距離受信(DX[-ing])を狙うことになる。しかし、電波伝播は11年周期をもつと言われている(言われていた?)太陽黒点数(Sun Spot Number)の変動に大きく影響され、SSN が低い時期にならないと低い周波数は遠くへ届きにくい。七夕なら年に一度の邂逅、オリンピックなら4年に一度だが、約11年に一度となるとなかなか聴きたいときにちょっと聴く、というわけにはいかない。また、日本国内の中波放送はNHKも含めてほぼ完全に週7日24時間体制なので、海外を狙わずとも遠隔地の放送はより近くからの強力な電波にいつも潰されていることが多い。さらには、資源としての周波数の管理というようなことが言われ始めてから、狭い地域を対象にしたローカル放送はどんどん高い周波数帯域へ移されるのが世界的な趨勢になっている。そうなると、比較的長時間の安定した遠距離受信はそもそも原理的に不可能だ。

こんなことを書いていると、自分でも「なにもそこまでせずとも」と思わず苦笑いしてしまうのですが、道楽のたぐいは得てしてこんなものではないでしょうか? ……と開き直っておかないと、先に行けません(笑)。

こうした厄介さは、幸いにしてネット配信にはない。現状のインターネットは、或る意味で巨大な有線ネットワークだから、配信元のサーバが止まっていたり、経路のどこかで輻輳や障害が生じたりしていないかぎりは、ほぼ確実に聴くことができる。

米国のコミュニティ・ラジオ局(community radio)

Yahoo! Radio の上述のカテゴリからいろんなストリーミングをつまみ食い式に聴いているうちに、米国のどこかの小さな町にあるコミュニティ・ラジオに行き当たった。米国のコミュニティ・ラジオ局の多くは、予算や人員の制約から National Public Radio (NPR) の番組を単にリレイしていることが多いようだ。だから案外こちらが勝手に期待するほどローカル色の強い内容を放送しているわけではない。ただその時は本当に偶然に、地元色満点の「お知らせ(public announcement)」が流れた:

ABC遊水地のマス釣りが来週末X日のY時から解禁になります

メモしておけばよかったとちょっと後悔しているのですが、固有名はさすがに憶えていません。アメリカ北西部、ワシントン州あたりの本当に小さな町だったような気がします。漁が解禁になる魚の名前も記憶違いかもしれません。オンライン地図で確認すると、たしかに遊水地か小さな湖がありました。

たぶん30代くらいか、女性アナウンサーの声だった。いろんなコミュニティ・ラジオのサイトでスタッフの経歴を読んでみると、中央というか主流のメディアで活躍していたが「もっと地に足が着いた仕事がしたい」と、こうした小規模・地域密着の放送に“おりてくる”バリバリのプロフェッショナルもいるようだが、この時の女性アナにはそんな尖った感じはなかった。のんびりしたテンポで、妙に滑舌だけがよくて上滑りしたようなアナウンサー口調ではなく、本当に普通に、この一本のお知らせを数度くり返し、また通常のリレイしている番組へ。

このアナウンスの内容自体は、何ということもない文字通りの告知だ。しかし偶々をれを聴いたこちらの空想は、この一言をきっかけにどんどん膨らむ。ほとんど誰も人が訪れないような静かな遊水地ではないのだろうか。湖水の色はどんな感じか、清冽で透明なのか、深みを映して緑青色か。私は釣りをしないけれど、ハイキングがてら釣り人の邪魔にならないように湖畔をぶらぶらと歩きたい。パン食の国へ行くと弁当におにぎりというわけにいかないのがつらい。マスの塩焼き……。もう妄想と呼んでも構わないところまで突っ走る。

こうした告知ひとつを耳にして、地図でその町がどの辺りにあるのか確認したり、そこの天気や役場のウェブサイトを検索したり、ウェブカメラが近くにないか、その近辺の様子がわかる画像がないか探したり(私はしました(苦笑))、そしてこうして手許に集めた断片的な情報から、実際にそこに行ってみた気分に浸れる(耽ることができる?)方がいらっしゃいましたら、同志(笑)と呼ばせてください……。

〔04年5月20日追記〕若干文章に手を入れ、また新たに付け加えました。「続きを読む」以下の部分には大きな変更はありませんが、ディレクトリへのリンクをひとつ追加しました。大変失礼いたしました。

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mp3 ストリーミング:Radio Paradise サイト・リニューアル

標題のとおりで、リニューアル後かなり重たくなっていた公式サイトが、このたび再度全面的に更改され、はるかに軽快なインタフェイスを具えて戻ってきた。

Eclectic ≠ 無定見

おそらく同じようにしている方は多いと思うのだが、私も自宅を常時接続にして以来、計算機の前に坐っている間はほとんど mp3 ストリーミングを流しっぱなしで聴いている。Radio Paradise は、そうした音楽ストリーミング放送のなかで、個人的にいちばん長期間にわたって愛聴している局だ。この局が一時期スローガン(あるいはアメリカ放送業界でのプログラム種別の呼称?)にしていた「Eclectic Radio」は、当初は英和辞典のうろ憶えで「折衷主義的ってなんとなく中途半端な語感でいやだな」と思っていた。しかし「折衷」という言葉に対してもっていた自分の先入観は明らかに誤りで、改めて調べてみると日本語でも英語でもむしろ「最良の部分を選んで取る」というポジティヴな意味合いをもつらしい。

番組内容はその「eclectic」という形容詞のとおり、ロックやカントリーやブルーズ、時には西洋古典音楽とジャズ、さらには米英を中心とした英語圏以外の世界各国のポップス/ロックから民俗音楽まで、ジャンルでいえば相当広範囲の音楽をカヴァしている。よい意味で“ポピュラー”(必ずしも爆発的に売れている/売れた、ということではない)な音楽が、選曲者の意図と工夫をいつも感じさせる排列で次々と流れてくる。全体としてはロック中心ということになるだろうか。お喋りは、ほぼ30分ごとに入るステーション・ブレイク(局名アナウンス)以外ほとんどない。ただ、DJの Bill さん(後述)が時々明らかにライヴとわかる短いコメントを入れることもあり、それも既存の電波によるラジオ放送に近い身近さを感じさせる。

もちろん、週休日なし・24時間営業のノン・ストップ放送なので、連続して流しているとそのうちプログラム・セットを聴き尽くしてしまう。別のお気に入りストリームを聴いたりさまよって他のおもしろそうな局を探したりするのだが、それにも飽きて戻ってみると、たいてい新しいプログラムに差し替えられているので、またしばらく定住する。そんなことのくり返しだが、昨年後半くらいから新しいセレクションが番組に加えられる頻度が上がってきて、以前のようにプログラム・セットをすぐに聴き尽くしてしまうことがなくなってきた。

所在地:天国(!?)

米国・カリフォルニア州パラダイス(Yahoo! Maps による地図。地図左側に出る縮尺で7くらいにすると、サンフランシスコを中心としたベイ・エリアの北方に位置しているのがわかる)という、いかにもカリフォルニアン(≒能天気(!?)、ごめんなさい>加州の方々)な名前の町に暮らす Bill & Rebecca Goldsmith さんが、番組制作からサイト構築、局の運営までほとんど二人でこなしているようだ。Bill さんは長らく放送業界の現場で音楽番組の制作に携わっていた人らしく、商業主義に侵蝕されてどんどん窮屈になっていく既存の音楽メディアに愛想が尽きて、自分がやりたいようにできるインターネット経由での放送に活路を見出そうとしているとのこと。広告を一切使わず、「Listener Supported Radio」を標榜してリスナーからの寄付で運営費をまかなっている(申し訳ない、こんなによく聴かせてもらっているのに、まだ一度も寄付をしたことがありません)。

番組で流れる楽曲は、Bill さんたちによる選曲にリスナーからの推薦も加味されているが、最終的な決定権は局側が握っている。「どうしてこの曲を推薦したのに流してくれないのか」というクレイムがしばしば寄せられているようだ。音楽を売り上げという単一の価値基準で評価することに嫌気がさして自前の放送局を始めたくらいだから、相当なこだわりがあるのだろう。落選した楽曲には意外なものも多いが、このあたりは今後どうなっていくのだろうか。

しかしそのこだわりのおかげもあるのか、番組は相当高い水準を維持していると思う。20分以上ある長尺の楽曲も平気で流れるし、1時間から2時間分くらいの選曲が或る特定のテーマに関わるものだったり、曲と曲のつなぎ方が絶妙のミキシングを施されていたりと、変化に富んでいるのも魅力だ。

双方向なサイト/放送

以前のエントリでもちょっとふれたように、この公式サイトはとてもよくできている。今回のリニューアルでトップページ最上部に移されたプレイリストで、気になった曲のところをクリックすると、その楽曲についての掲示板が開く。掲示板上部には All Music Guide や amazon.com の適切なページへのリンクが張られ、演奏者や曲についての関連情報が得やすい。リスナーからのコメントのやりとりも活発で、書き込みの内容も全般的に水準が高い。時々爆笑もののウィットが利いた投稿あり、貴重な情報へのリンクありで、決して放送が流しっぱなしの一方通行になっていない。

また、楽曲ごと以外にもこのストリーミング全体に関わる意見交換のための掲示板もあり、そこでもサイトのインタフェイスや番組制作などについて議論が行われている(これ以外にも時事一般、リスナーの地域ごとなど、多種多様な掲示板が設置されている。同サイト Forums 参照)。昨年の一時期、賛否両論あるにしても楽曲の選択自体は十分に吟味して行われているのだから、プログラム・セットがくり返しになるのを防ぐために、放送する楽曲の演奏順にランダムな自動化を実施したらどうか、という意見が出て、Bill さんがいくつか理由を挙げて「それだけは絶対にしない」と熱く意見/決意表明をしていた(Forums 掲示板に検索機能が見当たらず、残念ながらURLを明示できない)。

おそらく日本でもこの局を愛聴している方は多いのではと思うので、いまさらなのだが……。選曲が自分の趣味にかなり合っていたり、意外な名曲・名演奏を発掘できたりという点は別としても、ぬくもりの感じられる手作り感が番組にもサイトにもあふれているところが大好きだ。未聴の方はぜひ一度。30分でも1時間でも、お手すきのまとまった時間しばらく続けて聴いてみると、魅力の一端でも伝わるのではないかと思います。

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BBC "Letter From America" の Alistair Cooke さん逝く

今朝たまたまBBC(英国放送協会)のウェブサイトを見ていたら、「Radio legend Cooke dies aged 95: Veteran BBC broadcaster Alistair Cooke, best known for his Letter From America show, dies at home」(ラジオ界の至宝 Cooke 氏95歳で逝く)という見出しがトップページに小さめに出ていた。(記事はこちらです)。

情けないことに、Letter From Americaのホストが Cooke というお名前だとは、実はこの記事を読むまで思い出せなかったのだが、この番組名とその独特の雰囲気は、おそらく BBC World Service (WS) を聴いたことがある人の多くにはなじみ深いのではないだろうか。

Letter From America

この番組 Letter From Americaは、毎週1回新しい内容に差し替えられる“週刊”番組だった。今もおそらく変わっていないと思うが、私が聴いていた当時から BBC WS は24時間体制で、国内制作と国際放送向け独自制作の番組とを織り交ぜて構成されている。短波の伝播特性と時差の関係で、ターゲットとなる世界各地域で聴きやすい時間を狙い、多くの番組が1週間の間に2,3回は再放送される。たぶん人気が高かったのだろう、日本で聴いていても、たしか毎正時のニュースに続いて、かなりの頻度でくり返しオンエアされていたように記憶している。ニュースを聴こうとダイアルを合わせると、自然と耳に入ってくることが多かった。

15分間、年輩のホストがたった一人でBGMも音楽のブレイクもなく、淡々と喋る。時事解説とも言い切れず、報道番組ではむろんない。放送随筆というところだろうか。私がよく聴いていたのは、残念ながら現在のようにウェブ上で手軽に番組の背景やホストの人となりについて情報が得られる時代ではなかったので、今朝の訃報を目にして改めて BBC のサイトで追悼関連記事を読むまでは知らなかったことばかりだった。英国アクセントと語りの内容から、ホストは明らかに英国人だということはわかったが、なぜ「アメリカからの手紙」という番組名なのだろう、それにしてもこのおじいさん、政治経済から歴史文学にいたるまで本当にいろんなことをよく知っているなと、聴くたびに思ったのを思い出す。

Alistair Cooke さん略歴

関連記事と追悼番組によれば、Cooke さんは1906年マンチェスター近郊の生まれ。ワーキングクラスの厳格なメソジストの家庭に育つ。映画に魅せられ、ケンブリッジ大学に学んで後に映画評論家を志して BBC に売り込むがあまりうまくゆかず、BBC も含めていくつかの報道機関でジャーナリストとしての仕事を経て1937年渡米、BBC の米国特派員。1941年米国市民権取得、1946年に Letter From America 放送開始。最終回となった最後の番組は今年2004年2月に放送され、健康上の理由から引退を表明していたとのこと。

キャリアのハイライトはいくつかあったようだが、どうやら自身が偶然に3メートルほどの直近の距離から目撃した、1968年6月の Robert Kennedy 暗殺についての放送が最もよく知られているらしい。毎回の放送に際しては、原稿を書き始める前まで何について語るかを決めず、メモの類も一切取らなかったそうだ。追悼番組を聴くと、「trans-Atlantic」という言葉が幾度も強調され、英国・米国の貴重な架け橋という位置づけをされているが、そのあたりはアングロサクソンではない私にはよくわからない。

淡々と語る

私自身の印象に残っているのは、番組でとりあげられた個々の華々しいあるいは生々しい話題ではない。最前ふれたように、学識の深さと目配りの利いた洞察力を感じさせる、滋味溢れる Cooke さんの“トーク”そのものと、それが湛える物静かで落ち着いた雰囲気だった。こういう番組は日本の今の放送メディアにはほとんどないように思う。熱心なリスナーというわけではまったくなかったが、折にふれて貴方の語りに耳を傾けていた一人として、冥福を祈る次第です。

計算機(コンピュータ)は(とくに短波)ラジオにとっては強力な雑音発生器に過ぎず、計算機を常用するようになってからは短波放送を聴く時間がどんどん減っていった。放送自体はおそらくインターネットによる配信に遠からず完全に取って代わられてしまうだろう。フェーディングと雑音の陰から聞こえる人声や音楽にはいわく言いがたい雰囲気があると思うのだが、いつかは聴けなくなるかと思うと、今さらのようにさびしい。

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  • BBC 公式サイト、Letter From America 番組自体のトップページ。同ページ右側上から、「World Service Tribute」の音声アーカイヴ(30分弱)へのリンクあり。この追悼番組は、Cooke さんへの敬意と愛惜を籠めつつ、案外客観的です。

    〔04年4月6日追記〕追悼番組へのリンクが、上記「World Service Tribute」(URLを記録しておかなかったので、当方では残念ながら行方不明になってしまった)から、04年3月30日 BBC Radio 4 放送の60分弱のものへと差し替えられていた。倍の尺なので、関係者や本人の発言がより豊富に織り込まれている。最後の「Good night」の一言が余韻を残す。

  • 同サイト Alistair Cooke さん死亡記事

  • 同じく Highlights of Letter From America では、この番組の数回分を全篇、あるいは一部聴くことができる(ramファイル)。1962年 John Glenn による米国最初の宇宙飛行の話題(大気圏突入直前の緊迫した状況を淡々と述べるところなど印象的です)、Robert Kennedy 暗殺の回(これも、非常に落ち着き払っているところがかえって事の重大さと Cooke さんが受けた衝撃の大きさを感じさせる)など、聴き所が詰まっています。

  • 〔04年4月1日追記〕The Museum of Broadcast Communications の MBC's Encyclopedia of Television, Cooke さんの項(Val E. Limberg さん執筆)には、Cooke さんのラジオ・テレビ・著作の業績が見やすく挙げられている。

    なお、本文でうっかり書き忘れたのだが、Cooke さんが長年にわたり(1947–1972)英国の日刊クオリティ・ペイパー The Gurdian のニューヨーク特派員として新聞ジャーナリズムでも活躍されていた、ということも訃報に接して初めて知った。同紙の公式サイトにも当然死亡記事が出ていた。同新聞社における Cooke さんの後輩だったという Michael White さんの筆で、人となりを伝えるパーソナルなエピソードが紹介されている。

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