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動くシュトックハウゼン:映画 Modulations

Salvageship 「観とけー」経由で、Music Liberation Front 「映画 「モジュレーション」無料配信」(リンクはいずれもそれぞれのサイトの当該記事へ張らせていただいた)で紹介されていたドキュメンタリ・フィルム Modulations(邦題:モジュレーション) を、休日の前夜をいい口実に、昨夜ゆっくりと全篇通して観た。お二方、ご紹介ありがとうございました。

配信元は ZAQ Digital Monthly Movie、2月29日までの期間限定です。(なお、同ページにはフィルムの尺は「75分」と表記してあり、調べるとオリジナルはたしかにこの長さのようだが、配信中のものは1時間弱しかないような……?〔追記:04年2月13日:……と書いていたのですが、掛算できていませんでした。4つのパートに分かれていて、各パートは20分弱ですから全篇配信されていました。あぁ恥ずかしい〕)。要 rm/ram ファイル 再生環境(Real Player/Real One など)・要それなりに広帯域な回線(私のところはADSL8Mですが、実速1Mそこそこしか出ていません。それでも十分楽しめました)。

映画は、斯界の関係者たちへのインタビューを繋いで、「電子音楽」(我ながら古い言い方(苦笑))の歴史を概観しようというもの(というふうに私は見た)。「耳のための映画(cinema for the ear)」という副題にあるとおり、いちおう全篇を通じてさまざまな電子音楽(我ながら古い言い方(苦笑))がサウンドトラックとして流れるのだが、見ているこちらの関心は自然と音楽よりも人物へ向いてしまった。

Throbbing Gristle...

観終えた後で調べたところ、この作品の公式サイトには Electronica Timeline という略年表が出ていた。その「1970年代(1970's)」の項には

Throbbing Gristle がとんでもない騒音(horrible racket)を出して、それをインダストリアル・ミュージックと称する

とあり、思わず笑ってしまう。その Throbbing Gristle には個人的に強烈な記憶がある。たしか1980年代初頭、中村とうよう編集の(「ニュー」が冠されていた?)『ミュージックマガジン』をまだ毎月買っては、広告も含めて隅から隅まで舐めるように読んでいた。その頃に同誌でこのバンド(?)のことが紹介され、友人が「このアルバム(どのアルバムだったか失念)なら持ってる」というので気安く貸してもらったところ、……(以下略)。いや、ほとんど拷問に近かったです(笑)。

この映画では、その Throbbing Gristle の不気味な面貌の人がいきなり登場して、芝居がかった抽象的な科白を連発しながら電子音楽を語る。最初に出てきたせいで、個人的に大いに受けた。

編集・コラージュ・並置

それはそれとして、私自身は、いま「……の人」と書いたように、80年代半ば以降はジャズにすっかりハマり、それまでずっと夢中だったロック(少なくとも同時代にアクティヴに活動していたミュージシャンたち)をほとんど聴かなくなってしまった。そのため、このフィルムに登場したより最近の人たちは、ほとんどが「誰? どういうバンド(「ユニット」と呼ばなければいけないのかな)?」という感じだったが、それでもいくつか印象に残った言葉がある。

「編集(editing)」「コラージュ」「並置(juxtaposition)」。既存のLP(あるいはCDなどの音盤=完成品/商品としての音楽作品)も、音の素材としては他の「音」(自然の音や従来の楽器の音から、電子的に作り出された、あるいはそれこそ工場や建設現場のノイズまで)とまったく同列に扱うことができるし、実際にそのように扱われる時代になっている。そういうことを強調する映像も、映画のなかでは繰り返し使われていた。

もともと、どんな生産活動にも模倣の部分はあると思うし、個人を単位とする独創性(オリジナリティ)や著者性(authorship)といったものは、歴史的にみてかなり新しい(はずですが、一度確認してみたいと思いつつ未だ果たせず)。「コラージュ」という言葉を強調していたのは、フィルムのなかでもISDNのテレビ電話(?)を通じてしかインタビューを受けず、「俺たちのことがわかってないなら、もう話すことなんかない」とブチリと回線を切断してしまった、Future Sound of London という、なかなかすごい(褒め言葉です)人たちだったが、あっけないほど潔かった。

動く、喋る!(笑)

あとは、本稿標題にも掲げたが、モノクロ映像ででも自在に動いて喋るシュトックハウゼン(Stockhausen)やジョン・ケイジ(John Cage)を見られたのは、あまりにミーハー的だが嬉しかった。もちろん私は西洋古典音楽でいう「現代音楽」にも無知なのですが、ケイジは演出たっぷりで有名な「禅の影響を受けて……」云々という話といかにも合致した感じ、一方でシュトックハウゼンがかなり能弁でなめらかに喋るのにびっくり。自分が音楽を意識的に聴き始めた頃、当然MTV以前でミュージシャンの映像というものが本当に少なくて、ほんの時たま開催されるフィルムコンサートのような催しを丹念に情報誌の小さな告知から拾ってきては、小遣いの許す範囲で見に行ったりしたことを思い出した。

とりとめのない感想に終始してしまいましたが、この方面に関心がある方には私のような素人からもお薦めします。

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  • 標記の映画Modulations: cinema for the ear の公式サイト。本稿でもふれたElectronica Timelineで、いちおうの流れは一目瞭然(?)。

  • 映画のなかでも Moog シンセサイザや開発者その人、また Roland のサンプリング音源リズムマシーン(?)TR909 などの機材がわりと大きく扱われていた。有名サイトなのかもしれませんが、個人的に Moogulatorium

  • というサイトを見つけた時に、その内容の豊富さ(相当数の電子楽器・機材が取り上げられている)とこれら機材の多数の「生写真」(笑)に狂喜しました。まだ全部読み切れていません。ご紹介まで。

  • 自分の備忘のために:OHM: The Early Gurus of Electronic Music (2000)

  • 。欲しいと思い、店頭で手にとって後はレジへ持っていくばかりというところで「いや、(3枚組CDで値段が高めなので)やっぱりやめておこう」「単音シンセの多重録音ループやノイズみたいなものばかりだったら無駄金になってしまう」と2度も入手直前で断念した。この映画を観ても、まだ躊躇していますが、こんなことをしているとそのうち売り切れてしまうだろうな……。

  • 〔追記:04年2月13日〕「一目瞭然」などと書いてはみたものの、調査不足は自分でも否めず、その後いろいろ探しまわった。

    Electronica の歴史については、The Electronica Primer が1950年代以降(ただし大きく扱っているのは1980年代以降)を、また Ishkur's Guide to Electronic Music が1970年代以降を扱っていて詳しい。どちらのサイトも要Flashで、そのぶん各ジャンルの代表的(らしい)な楽曲のサンプルも聴ける。おもしろかったのは、Full History of electronic and computer musicという年譜。なんと紀元前2世紀、水圧利用のオルガンについての言及を冒頭に出しています(ただし、上掲 Electronica Timeline と全同の記述もあり)。こうなると、電子楽器もからくり・オートマトンの一部で、電子化された(だけ)のもの、ということか……。

    その電子楽器・機材については、Synthesizer Museum というサイトもありました。情報の検索のしやすさの点では、こちらのほうがお薦めかもしれません。

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