スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
category: スポンサー広告 | permalink | - | - |

Post-rock?: Bark Psychosis と Talk Talk と

Bark Psychosis ///CODENAME:DustSucker

ここ数日、先月7月末にリリースされた ///CODENAME: dustsucker(標題冒頭のスラッシュ3連打は読み方がわからない、何か意味があるのだろうか)と、10年前の同名バンドによるデビュウ・アルバム HEX (1994) ばかり聴いている。また例のごとく、自分にとっては空白の1990年代に出たバンドで、ようやく最近になってその存在を知ったばかり。それでもこうして巡りめぐって聴く機会を得たので良しとすべきなのだろう。この数年、好きなジャズもロックもほとんど新譜は買うことがなかったせいで、ほとんど音楽的リハビリを自分に施している気分がする。

新譜はかなりいい。1曲目の冒頭でいきなり安っぽい電子音が鳴ってやや面食らうが、あとは全篇、アコースティックと電子/電気楽器を絶妙のバランスで使い、やや暗い曲調の比較的スローテンポな曲が淡々と、しかし随所に心地よい緊張を孕んで続く。けだるい女性ヴォーカルが数曲、同じく囁くような男性ヴォーカル。歌詞は意味ありげだが思わせぶり(なだけ)とも言える。音は聴き込むほどに新たな深みをみつけることができる。

以下は、このバンドあるいはジャンルに詳しい方々にとっては今更の話だと思うので、すべて「続きを読む」にて。

上掲画像は、アルバム・カヴァをそっくりそのまま無断で掲げるのはできるだけ避けたいので、戯れにでっち上げてみたもの。///CODENAME: dustsucker のシンボル・マークのように使われている「///:」を、スキャンした同カヴァの一部に貼り付けてみた、拙“作”というもおこがましいイメージ画像です。

後期 Talk Talk

きっかけは、先月か先々月だったか、これもまた既に数年前に出ていたことを知り慌てて入手した Mark Hollis のソロ・アルバム Mark Hollis (1998) だった。届いたCDのケース表(おもて)には「Formerly of Talk Talk」と刷った小さなシールが貼られている。ご承知の方には言わずもがなだが、Hollis は、元は英国のエレクトロ・ポップ(なのだろう、私自身はポップ時代のこのグループの音は聴いたことがない)バンド、Talk Talk が1980年代後半から劇的に転進して独自の音楽を創った時期の推進力だった人物だ。線の細い高音域のヴォーカルとファズを目一杯に効かせたフリーキーなエレキ・ギター、それに曲作りを担当していた。

Talk Talk は、The Colour of Spring (1984) 以降の3枚のアルバムをほぼリリースと同時に聴いていた。自分にとっては、次第に興味を失っていったロックのなかでは数少ない、毎回の新作を期待させ実際にそれをほとんど裏切らなかった貴重な存在で、アルバムはどれも非常に気に入った愛聴盤だった。もっとも当時の私は、実際には第4の非公式メンバーだったらしい Tim Friese-Greene がこのバンドを動かしているものだと、ずっと思っていた。Friese-Greene の名前は Talk Talk の後期の3枚のアルバム、The Colour of Spring (1986)・Spirit of Eden (1988)・Laughing Stock (1991) のすべての曲に Hollis と共にクレジットされている。彼はプロデューサとしても名前が出ており、演奏にも参加していた。

Bark Psychosis の新譜では、この Talk Talk のドラマーだった Lee Harris がドラム・パーカッションで参加している。

Post-rock?

Bark Psychosis のデビュウ・アルバムは、“post-rock(ポスト・ロック)”というロック音楽のサブ・ジャンルが名づけられる契機になったものだという。そして“post-rock”の影響源のひとつとして名前を挙げられるのが Talk Talk なのだそうだ。このサブ・ジャンルの括り自体はいろんな批判を浴びているようだし、そもそも名付け親とされる英国の評論家 Simon Reynolds(リンク先は同氏ウェブサイト blissout 入口)が HEX をこう呼ぶ以前にも、この表現は用いられたことがあるようだ(以前にもたしか参照したことがある“'the bible' of alternative rock”を自称する TrouserPress.comBark Psychosis の項には、“post-rock”は早くも1968年に Ellen Willis という culture writer(文化評論家?)によって用いられていた旨、記述がある)。Simon Reynolds による当該アルバム評(1994年5月、英国の音楽誌 "The Wire" 第123号所掲とのこと)はウェブ上ではみつけられなかったが、Wikipedia 英語版 Post-rock の項に出ている引用らしい箇所によれば、この言葉は:

ロックの器楽編成法(instrumentation)を非ロック的目的のために用いる、〔たとえば?〕ギターをリフやコード(powercode)を演奏するためではなく、音色(timbre)やテクスチャを与えるために用いる

類の音楽を指すべく使われたもののようだ。実際に聴いてみて、この言い方は逆ではないかという気がする。果して“目的”としてロックではないものを創ろうとしていたのだろうか、やりたいことをどうやったら実際の音楽に仕上げられるか試行錯誤を重ねていたらこういう音が出来た、というほうが近いのではないか。ただ、ロックにおける10年前の時代としての雰囲気も自分には実体験として理解できる部分がほとんどないし、ミュージシャンたちに失礼な感じ方なのかもしれない。

だが毎度のことで、ジャンル分けなどどうでもいい。Bark Psychosis と Talk Talk の音が似ているかといえば、たしかに共通するところはあるように感じる――生ドラム、とくにシンバルとハイハットをきわめてオーソドクスにほぼリズムを刻むためだけに使い、かえって曲を強力にドライヴするやり方、時にノイズのような轟音を立てる濁った音色のギター、それと対比するように多用される木管・金管や弦楽器といったアコースティックな楽器類。こうした楽器構成や使われる音の相似に加えて、即興演奏的(おそらく完全なアドリブではないと推測されるので、敢えて「……的」と書いておく)な緊張感と昂揚を演奏の随所でみせるところはそっくりだ。違いは、Talk Talk ではアルバムごとにどんどん使われる度合が減っていった電子楽器類を、Bark Psychosis ではかなり重用していて、しかも全体的な音の印象としてはアコースティックな響きを損なわずかえって増しているように思えるところだろうか。

Bark Psychosis というバンド

冒頭でふれたとおり、HEX と今回の新譜 ///CODENAME: dustsucker の間にはちょうど10年の空白がある。All Music Guide 所掲、Jason Ankeny さん執筆のバンド・バイオグラフィによれば、この間バンドとしての Bark Psychosis は公式には1997年に解散している。今回の新作を制作したのは前作でもヴォーカル担当だった Graham Sutton で、ヴォーカリストが変わっていないこともあってか、音の印象は続けてこの2枚のアルバムを聴いても10年の空白をほとんど感じさせない。もっとも、新作の制作期間は5年にも亙っているそうで、これも影響しているのかもしれない。

この2枚のアルバム以外に、1989–1992年に発表したシングル・コンピレィション Independency (1994) があるとのこと。このバンドの結成自体は1986年にまで溯り、1994年のアルバム・デビュウ前に結構な数のシングルをリリースしていた由。なお dustsucker アルバム公式サイト(要Flash)の FAQ によると、この Independency のみがバンド・メンバーが唯一公認したもので、他の2枚のコンピレィション・アルバム、Game Over (1997) と Replay (2004) は元所属レーベルによる勝手な制作・リリースだそうだ。

このうち現在簡単に入手可能な Replay も聴いてみた。彼らがライヴ演奏の拠点にしていたというロンドンの St John's Church(この教会のことだろうか? アルバム・カヴァの写真を見るかぎりではよく似ている)での1991年7月のライヴを含むこのコンピレィションは、全般に音質が良好とは言えないが、演奏の質そのものは相当高い。AMG の「Discography」欄でのこのCD(というよりもリリース元のレーベル)に対する酷評(誰か友達に買わせてコピーしろ、とまで言っている)は、これ以前の2枚のコンピレィションを聴いたことがない私にはちょっと理解できないが、私と同様に先の2枚を持っていない場合は、聴いてみて少なくとも落胆はしないと思われる。

“ポスト・ロック”や“音響”や、ちょっと調べてみると自分が知らない言葉がボロボロ出てきて、なにかまた改めていかに自分が時代から取り残されているか思い知らされる気がしたが、これも毎度のことだ。Talk Talk の3枚のアルバムを飽きるまで聴き込んだように、またしばらく Bark Psychosis の音ともつきあうことになりそうだ。

----------

category: music | permalink | Comments(0) | Trackbacks(0) |
Comments
Care to comment?














About This Site

おもに音楽と読書にまつわる雑感を随時綴っています。

Table of Contents
Recent Entries
Recent Comments
Recent Trackbacks
Credits
  • Most of the photographic images carried here are from the superb collection of free stock photos, stock.xchng
  • CSS and HTML template edited using ComponentSoftware RCS, an excellent RCS suite.
  • Textual contents of this site licensed under a Creative Commons License (by-nc-sa), except where otherwise noted with my sincere acknowledgements.
    (CC)2004–2006 by moondial. Some rights reserved.

    Creative Commons banner

For Syndication
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。