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Pat Metheny: One Quiet Night

Pat Metheny: One Quiet Night

幾度も来日しているにもかかわらず、ものぐさが祟って一度も生演奏を聴いたことがない。Pat に限らず、音楽情報も以前ほど積極的に蒐集していないので、CDショップを訪れる度に、新譜が出ていないか欠かさず確認する程度だ。

「ジャケ買い」

このアルバムともそうして出遭った。ほとんど「標題買い」「ジャケ買い」したのが本当のところだ。米国のちょっとした規模の都市のダウンタウンに典型的な街角の真っ暗な夜。激しい雨が降り込め、濡れたアスファルトの路面に街灯が反射するなか、人が一人/独り、足早に歩き去っていく。

アコースティック・バリトン・ギター

全篇、Pat が Nashville Tuning という変則チューニングで弾く、アコースティックのバリトン・ギターで演奏されている。たぶん完全な独奏で、多重録音はされていないと思う。経験上、独奏楽器としてはおそらく西洋の楽器のなかで最強のピアノを含めて、ソロ演奏でアルバム一枚という作品には、けっこうしんどいものが多い。だから、購入時の楽曲の目当ては、12曲目の Last Train Home だけ。自腹を切っているにもかかわらず、大して内容には期待していなかった。

この曲、原曲は Pat Metheny Group (PMG) 名義の1987年のアルバム Still Life 所収。果てしなく郷愁を誘うメロディーラインで、故郷らしい故郷を持たず、出自への思い入れもない私は、なぜかこの曲を喫茶店の有線放送やFMラジオで耳にするといつも、ほとんど即座に涙ぐみそうになってしまう。

響き

安物のCDラジカセしか部屋に置いていないせいで、きちんと音楽に向かい合って聴くのは一人で車の中で、ということになってもう何年も経つ。上述の次第で、大して期待もせずにCDプレイヤーに音盤を入れる。

音が深い……。いや、音というよりもギターの胴の中で響くハーモニーが……

この音盤を買ったタワーレコードのセールス惹句には、「ギターソロなのに、幾つもの楽器が鳴っているような」とあったのを思い出す。響きの豊かさがおそらく最も顕著に表れているのが、2曲目の Song For The Boys だろう。アルペジオで始まり、Pat の楽曲で耳慣れたコード進行がコードストロークを多用して演奏されていく。コードをかき鳴らす度にギターの腹の中で鳴り続ける音は、まるで Lyle Mays がいつものように、静かにシンセでバッキングをつけているかのようだ。

Pat 自筆のライナーノーツによれば、このバリトン・ギターをとても気に入って入手した彼が、故郷の町で子供の頃にギターの達人から教わった変則チューニングを試しながら「或る静かな夜」、NYC の自宅のスタジオで独りテープを廻して、自分のためだけに演奏したものが、このアルバムの大半を占めているそうだ。ちなみに、最初の録音は9.11の2カ月半ほど後のこと(最近買う新譜で録音年時が明記してあるものは、9.11事件との先後関係を確認する習慣になってしまった)。

"My Song"

"All-time favo[u]rite songs" の一曲としてライナーノーツに名指しで挙げられている Keith Jarrett のMy Song (1978年、同名アルバム所収、左記のリンク先はレコードレーベルの公式サイトなのに碌な記述がないので、詳細についてはこちら)が、原曲の Keith 自身の北欧カルテットによる演奏にほぼ忠実で、改めて Pat の編曲・演奏力に舌を巻く。当初楽しみにしていたLast Train Home はしかし、曲の出だしでメロディラインをきちんと提示した後はかなり換骨奪胎されていて、ほとんど別の曲になっていた。けれど、ここでも、そしてアルバム全体を通じて、バリトン・ギターの豊かな響きは活きている。

たぶん、Pat のファンでも、手許に置いていつでも聴けるようにしたいという人はさほど多くないかもしれない。それでも、一人で過ごす静謐な時間を大切にするには、最適なアルバムの一枚と言ってもいいような気がする。

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