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John McGeoch と Radiohead と

(私にとってはあくまで)“Siouxsie & the Banshees の”ギタリスト、John McGeoch が、去る3月4日就寝中に亡くなっていたということを、なんと昨夜になってようやく知った。Radiohead の Hail to the Thief (2003) を発売直後の昨年7月初旬に初めて聴いてから、久しぶりに John McGeoch のことを思い出していた。このアルバムの随所に、McGeoch のギターの影響が感じられたからだ。たまたま昨夜も、6曲目の "Where I End and You Begin" をはじめ、このアルバムから暗くて曖昧な曲ばかりを選んで聴きながら、McGeoch についてつらつら考えていた。まだ48歳だったのか……。一月以上も前のことだ、ここまで情報に疎いのもどういうものか?>自分。本当に遅ればせながら冥福を祈ります。

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今更で恐縮だが、備忘も兼ねてまとめておく:

申し訳ありません、以下は甚だしく迂回します。

1980年代の半ばを過ぎたころ、それまで夢中で聴いていたロックに、さまざまな事情から面白みを感じられなくなった。McGoech 在籍時代の Banshees(アルバム発表年時では1980–82)は年代の点で自分の音楽遍歴のなかではけっこう微妙な位置にあり、Magazine(同、1978–80)は溯って聴き、PiL(1986–92)は友人に薦められて聴いたもののまったく引っかからなかった。Banshees の Juju(1981)は文句なく名盤だと思うが、当時はどちらかというとギターよりも Siouxsie Sioux のヴォーカルと、Budgie の力強いのにおそろしく抜けのいいドラムに圧倒されていた。

PiL は McGeoch のキャリアを軸にしてみた場合の一例に過ぎないが、ちょうど彼らが売れていた頃から、次第にロックへの関心が薄れていく。だが音楽なしでは生きていけないので、たまたま書店で立ち読みしてそのまま買った一冊の入門書を頼りに、ジャズに没頭していった。当初、無理してでも聴こうと背伸びしていたのかもしれない。ロックにこのままずっとつまらない(としか自分には感じられなくなりつつあった)ものしか出てこず、ジャズのおもしろさもわからなければ、自分には聴ける音楽がなくなってしまう、そんな焦りがあったのだと思う。ブルーズなり西洋古典音楽なり民俗音楽なり、ほかにも音楽はたくさんあるというのに。

ちょうど音楽の媒体がヴィニール盤からCDへと切り替わる時期で、ジャズの銘盤も続々復刻されていた。Charlie Parker 以降のジャズ史をかなりの説得力で描いてみせたその入門書にほぼ忠実に、入手可能な範囲でできるだけ発表年代順に次から次へとさまざまなアルバムを聴く。入門書、つまりは一種のマニュアルという道案内なしに、新しい世界へ踏み入ることができないのは、私が属する世代の特徴か。いや、やはりあくまで私自身の頭でっかちな性格のなせる業だろうか。いずれにせよ、幸いにもジャズの楽しみ方が少しはわかってきて、それはそれでよかったのだが。

そんな経緯で、1980年代末からごく最近までの十数年、同時代のロックをリアルタイムではほとんど聴いていない。前にも拙文でふれたが、音楽雑誌やFMラジオの音楽番組経由で新しい音や情報を集めることもしなくなった。Radiohead は、中学生時代からの“つきあい”の惰性でたまに聴いていた、渋谷陽一のNHK-FMの番組で最初に耳にした。今から考えると、Kid A (2000)、Amnesiac (2001)、それに現時点での最新アルバム Hail to the Thief のリリース前後の渋谷の番組を偶然全部聴いたのだろう。渋谷の「ロックの歴史と意味合いを変えたので“ございます”」といった類の大仰な(と当時聞こえたし、今も持ち上げすぎではないかという気はしている)解説とともに流れる音を聴いても、全然ピンと来なかった。ハマるきっかけになったのは、Radio Paradise(前回拙稿)で、この局のいつもの番組フォーマットどおり、能書きなしに流れていた "Fake Plastic Trees" の音質の悪いライブ演奏(非公式音源?)の音と歌詞に耳を傾けてからだった。

重い腰を上げてCDを買いに出かけた昨年夏には、この曲が収録されているアルバム The Bends (1995) だけを買うつもりだったのだ。しかし魔が差した。なぜか躊躇したライヴのミニ・アルバム(?)を除いて、その場でファーストから最新作まで全部を買い込んだ。こういう或る意味はしたない買い方を「おとな買い」と最近は言うらしい。気に入らなかったらとんでもない無駄遣いだと思いながらまとめて買い、結果的にハズレがほとんどなかったのは、僥倖と思わねばなるまい。

冒頭にふれた "Where I End and You Begin" のギター・リフをCDで聴いた時、音色からリズムの刻み方まで「ほとんどそのまま McGeoch じゃないか」と思った。McGeoch が何らかの理由でツアーに参加できず、The Cure の Robert Smith(は、実は Banshees における McGeoch の前任ギタリストだった)が差し替えでバンドに暫定的に復帰・演奏してそのままライヴ盤 Nocturne (1983) になったのを聴いた時の感じと同じだった。ろくに Radiohead のことを知らないままにごっそり買い込んできたので、ウェブ上で検索してバンド関連のサイト green plastic radiohead をみつけ、その新譜紹介で「プロデューサがスタジオでギタリストに Banshees 時代の McGeoch みたいに弾いてくれと言って、バンドはみんな大いに盛り上がった」(趣意)というメンバーのコメントを読んで、なるほど最初から狙っていたのかと苦笑した。もっともこのコメントは、どうやらアルバムからの最初のシングル・カット "There There" に関するもののようだ。

McGeoch と Smith は、同じバンドに相前後して在籍したことから推しても、当然お互いに相当影響を与え合っただろう。私自身の McGeoch のギター演奏の印象も、Smith のそれから受けるものと混じり合っている部分がかなりある。それに、1980年代前半のこの頃までは、私にも或る程度まで時代の雰囲気がわかっている。一方で Radiohead は1990年代に世に出たバンドだ。自分のなかですっぽり情報が抜け落ちていて、時代的に共感/違和感を積み上げてきた部分がほとんどないこの時代、力作を発表し続けているおそらく最も上質なロック・バンドのひとつが、まるで McGeoch そのままにギターを鳴らすのを聴いて、古さも感じさせず違和感もほとんど残さない。不思議な気がするし、自分にとって1990年代はいったい何だったのだろうとも思う。

そんな感傷はさて措き、上掲 The Guradian の死亡記事と PiL のサイトの追悼文とによれば、1995年というからちょうど不惑の歳、McGeoch は看護師の資格を取得したそうだ。音楽を捨てようと一度は決めたのだろう。一方で最近はテレビ番組の音楽を書いていたともある。自分のような凡人には窺い知れない、創造する人だけがみる地獄があったのだろう。自身の過去の演奏がより若い世代から賞讃を浴びるたびに、本人としては辛い思いが募ったのかもしれない。それでも McGeoch のギター・プレイの独創性は、ほとんど四半世紀が経とうとしている今でも古びていない。Magazine のベストと Juju でもひっぱり出して久々に聴いてみようと思う。どうか安らかに。

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Comments
はじめまして。Radioheadを検索していまして、こちらに辿りつきました。今後情報交換などできたらなと思い、また「同じツボでは?」と思い、うちのバンドの音源聴いていただきたく書き込みいたしました。ぜひとも感想聞かせてください。www.sound.jp/blindplace
| Hiroshi (URL) | at 12:46 on 2005/09/18 |
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