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Aaron Copland 関連

「最もアメリカ的」と呼ばれている(らしい)この作曲家(1900–1990、指揮と著述も)の生誕100年を記念したウェブサイト Copland 10 x 10「10 Legacies: The Influence of Copland」(10の遺産:コープランドの影響)第9条にこうある:

1970年代、多くのポップス・ファンは Emerson, Lake & Palmer のおかげで Copland の音楽を初めて知ることになった。彼らはアルバム Works(1977) に、大幅にアレンジを加えて演奏した "Fanfare for the Common Man" を収録している。

私はまさしくこのクチで、アルバム発表当時、“ELP バージョン”冒頭の高らかにすっきりと響くこのファンファーレ(の部分だけ(笑))に魅了されたのをよく憶えている。しかし、元々は Aaron Copland 作曲のものだとは、迂闊にもずいぶん長い間知らなかった。

関連記事を書くたびにお断りしているとおり、私はいわゆる“クラシック”音楽については“現代音楽”も含めてまったく昧い。したがって、この作曲家と彼の作品が概してどのような評価を受けているのか、何ひとつ知らないことを、重ねてお詫びしておきます。

昨年11月末に偶然、(そもそもは Gershwin を聴いてみようと思った) NPR の番組「Young Artist in Residence: Dvorak and Copland from Violinist Colin Jacobsen」で、 Copland 作曲 "Sonata for Violin and Piano"(1943)の演奏を聴く機会を得た。番組内での演奏の可否も私にはわからないが、このソナタの、単純と言ってもいいほどに平明でありながら、静謐で心に沁み入ってくるような第2楽章が、強く印象に残った。それをきっかけに、上記“ELP バージョン”絡みのことも思い出し、例のごとくウェブ上でいろいろ関連リソースを探し始めた。

そうこうするうち、今度は BBC Radio 3「Composer of the Week」(放送は日本時間で21時から1時間)という番組で、たまたま今週(2006年1月2日–6日)、Copland が特集されているのに気づいた。各回1時間・全5回の放送で、Copland のキャリアと作風の変遷を年代を追って紹介している。ストリーミングを通してオン・ディマンドで聴けるのは、BBC の場合放送から1週間に限られているので、もし興味をお持ちの方がいらしたら間に合うように、またあわせて自分の備忘も兼ねて、Copland 関連のウェブ上で参照可能な情報をまとめておきます。

  • Copland について概略を知るために、Wikipedia 英語版 Copland の項。同項所掲の作品リストは "selected" とされていて、網羅的ではないようだ(後述)。日本語版の記述は、現時点では簡略。

  • ほかに、(American Mavericks(→関連拙稿)を制作・放送した)米国の公共放送局 Minnesota Public Radio(MPR)による、上掲 Copland 10 x 10。ここでは、標題にあるとおり、10の段階に分けた略歴・傑作選10曲……など、10の切り口から各々10箇条ずつ、合計100項目で Copland の音楽と人柄を簡潔に(しかしわかりやすく)紹介している。「10 Audio Clips」は、(残念ながら)標題どおり、代表作の短い抜粋のみ試聴可能。

  • 主だった作品をきちんと聴くには、American Mavericks 公式サイトのほうがいい。現時点で12曲分がオン・ディマンドで聴取可能。Listening Room にて。さらに同ドキュメンタリ第3回「Oh, to be popular!: Modernism and Populism」 では、番組前半でかなりの時間を割いて Copland の業績を追っている。その語り部分の原稿はこちらで。

  • 2000年の生誕100周年を記念して、NPR では特集を放送したようだ。一部を除いて番組音源を聴くことはもうできなくなっているようだが、特設サイト The Aaron Copland Centennial があり、MPR の Copland 10 x 10 とほぼ同趣向の Copland 紹介がある。しかしそちらよりも、「The Copland Story」(?)頁のほうが、作曲家への長いインタヴュウを始め関連番組ページ(ストリーミングは本稿執筆時点でも可能)や資料へのリンクを集めてあり、利用価値が高いかもしれない。

  • 1950年代前半の米国を席捲した悪名高い赤狩り(Red Scare, McCarthyism)で、作曲家として駆け出しの頃から米国内の共産主義的な芸術/社会運動に関わっていた Copland も標的にされた(ということを、今回初めて知った)。再び MPR のサイト内、「Conscience vs. McCarthy: the political Aaron Copland」(05年5月3日付、Bill Morelock さん執筆)参照。番組の音源は聴けないが、当時の Copland の、この嫌疑に対する周到かつ慎重な対処の仕方が窺える、かなりまとまった記述がある。同頁末尾に、このルポの情報源として Howard Pollack 著の評伝 "Aaron Copland: The Life and Work of an Uncommon Man"(University of Illinois Press, 2000)が挙げられている(Google によれば http://www.music.uh.edu/people/pollack.html に University of Houston 教員の Pollack 氏のプロフィール頁があるが、本稿執筆時現在不達)。

  • 資料篇としていくつか。米国連邦議会図書館(Library of Congress)は The Aaron Copland Collection Ca. 1900 – 1990 を持ち、ウェブ上でも肉筆楽譜・原稿・書簡などの画像を閲覧できる。

  • 主要作品リスト(作曲年次順)は、上掲 Wikipedia 英語版のほかに、作曲家の自宅を保存し、また遺志を継いで若い音楽家/作曲家の育成を趣旨とする Copland House サイト内、「List of Works」にもある。

  • ディスコグラフィを標榜するものは、Copland の主要音楽レーベルだった(らしい)Sony Classical に2つ(「Aaron Copland's Discography」「Aaron Copland: Discography」)あるが、どちらも自社の音盤しか挙げていない。

  • 以下くり返しになるが、Copland 作品の演奏を聴くことができるラジオ番組のアーカイヴ。上掲、"Sonata for Violin and Piano" の NPR 「Young Artist in Residence」での演奏(05年11月30日放送)、談話部分を除いた演奏時間は約20分(第2楽章は、現在の番組アーカイヴ・ファイルで9分40秒経過後ころから)。ヴァイオリンは Colin Jacobsen、ピアノ Marija Stroke。

    冒頭の曲紹介によれば、私が魅かれた第2楽章は、Copland が親友の戦死を知り、彼を悼んで書かれたものである由。(NPR のウェブサイトでのこれまでの動向から、年が改まって "Artist in Residence" が交代するとすぐに消えることはないとは思うが、この音源がいつまで提供されるかは未詳。)

  • 同じく上掲、BBC Radio 3 の「Composer of the Week」、Copland の週トップ頁。盟友で Copland にとって最大の理解者とも言われる(らしい)Leonard Bernstein 指揮・New York フィルの "Fanfare for the Common Man" 、それに(ジャズ)クラリネット奏者 Benny Goodman からの委嘱で書かれた、Goodman 演奏・Copland 指揮による "Clarinet Concerto"(1947–48)は第3回に。1942年作曲の "Fanfare..." が、第二次世界大戦時アメリカの戦意高揚のために委嘱された作品だったことも、今回初めて知った。

以下はかなり気が引けるので、追記にて。

上掲の参考サイトは、最初に挙げた Wikipedia 英語版の末尾にあるものとほとんど重複している。日本の(“クラシック”に限らず)音楽愛好家の調査好きは周知のとおりで、日本語リソースに期待していたが、結果的に英語で書かれたものばかりを列挙することになった。

けっこう時間を費やして自分でも探してみたところ、まとまった資料がウェブ上では案外みつからない。デッド・リンクで不達のところも多かった。作品リストにしても、彼の作品のレコード/CD化された演奏のディスコグラフィにしても、網羅的なものは、私が検索エンジンやそこから飛んだ先のリンク集などからできるだけ辿ったかぎりでは、結局探し出すことは叶わなかった。あまり人気がないのだろうか、あるいは評価がさほど高くないのだろうか。

検索を試みた最後のほうで、Dr David C F Wright 著「AARON COPLAND: Personal Thoughts (1991)」という文章をみつけた(URL を挙げる: http://www.musicweb-international.com/classrev/2002/July02/Copland_profile.htm)。作曲家逝去の後、生前の彼を直接知るこの著者が回顧した、比較的長い随想だ。そのなかでエッセイ著者は、(私が読み取れるかぎりでは)Copland の飾らず真率な人柄を高く評価するいっぽう、彼の音楽キャリアはアメリカという国と彼自身との(音楽的)アイデンティティを追求/追究した苦闘の足跡で、作品は大半が凡庸だった……と、相当手厳しい評価を下している。

この評価が妥当かどうかは、もちろん私などにはわからない。"Sonata for Violin and Piano" の演奏を NPR での本放送の数日後に聴いて感銘を受けてから本稿をまとめるまで、あちこちウェブ上を飛び廻ってみてゆく間に、Copland の主だった作品をそれなりの数、聴くことになった(もちろん、大した時間ではない)。彼は、作曲家としてのキャリアのなかで、大きく作風を転換しているという。契機は大恐慌時代で、“クラシックの本場”欧州から当時最先端の作曲理論や作風を母国に持ち帰って書いた、"Piano Variations"(1930)を始めとするいわゆる“アヴァン・ギャルド”な傾向から、より多くの人たちに自分の(そして同時代の)音楽を届けるため、意図的に作風をシンプルにした。たしかに、今回聴くことができた1930年代末以降の Copland の音楽の多くは、ろくに“クラシック”を聴いたことがない私の耳でも、或る意味で“わかりやすい”、あるいは非常に親しみやすい印象を受けた。その親しみやすさが、逆に仇になっているのか。

ただし、どこか(複数)のウェブサイトで読んだかインタヴュウ録音を聞いたかした、Copland と同時代の音楽家が伝えるところによれば、彼の(とくに初期の?)作品は、複雑な構成を具え、また演奏者に要求される技術水準が高過ぎて、それらの作品発表当時には実際に演奏することが不可能だったこともあったという。したがって、ここでの私の書き方は単純化のしすぎではある。それに、“わかりやすさ”を聴き手に即座に感じさせる Copland 作品の裏側には、実は作曲上の技巧が大いに凝らされている(ものもある?)のかもしれない。このあたりの話になると、私にはお手上げだ。

そうお断りしたうえで、あえて私自身の感じ方を言えば、Copland の意図した平明さが退屈に思われる曲もあり、見事に奏功していると感じ入る曲もあった(当然か――傑作ばかりを物すことなど、大天才でもできはしない)。こんなことを私のような何も知らない者が言うのは僭越以外の何物でもないが、Copland の音楽が目指し表現してみせたシンプルさは、これからゆっくりと時間の吟味にさらされることになるのだろう。21世紀に生きる私(たち)にとって、20世紀はまだまだ近い。令名に反して(少なくともウェブ上で見るかぎりでは)扱いがやや寂しい気がする彼は、いまちょっと脚光からはずれた場所で、未来のいつかの時点で決まる、汲めども尽きぬ古典たりうるかの判断を待っている、というところなのだろうか。

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