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KCRW(在米国・カリフォルニア州サンタ・モニカ)

標題にはこれまでの拙サイトでの慣例に従って局の所在地を付したが、少なくともインターネット上でのプレゼンスに関するかぎり、この局の人気はローカルに限定されていない。熱心なリスナーが世界各地に多数いるようだ。

世界的な人気を誇るコミュニティ・ラジオ

元々 KCRW(リンク先は同局公式サイト)は、米国に多数あるコミュニティ・ラジオのひとつだ。コミュニティ・ラジオは地方局よりもさらにサービス・エリアの狭い、地域密着の放送を旨としている。運営母体もこれまた米国各地に多数存在するコミュニティ・カレッジのひとつ、Santa Monica College(リンク先は同校公式サイト、紹介頁)。当然、ネット経由のストリーミングで我々が聴取可能なのは、英国 BBC の国際放送 World Service のように国内向けネットワークとは別内容で制作された番組ではなく、所在地の米国カリフォルニア州サンタ・モニカ(Santa Monica, CA, ロス・アンジェルスのほぼ真西、太平洋沿岸。リンク先は multimap.com による周辺地図)で彼の地に暮らす人たちが聴いているものと同じ。オン・エアのかなりの時間は KCRW も参加しているアメリカの公共放送ネットワーク NPR(National Public Radio)経由で供給された(概して質の高い)番組が流れている。

米国のコミュニティ・ラジオ局については、不十分ながら以前「ネットで聴くローカル放送」と題した拙稿でもふれている。よろしければご笑読ください。

真に "eclectic" な "Morning Becomes Eclectic"

おそらく、この局の人気が世界的なのは、音楽番組 "Morning Becomes Eclectic"(リンク先はKCRWサイト内、同番組公式ページ)の存在に相当多くを負っているのではないか。番組のホストは Nic Harcourt さん(リンク先は同氏プロフィール)。実際にこの同氏プロフィール冒頭には、彼が KCRW に移ってきてから "Morning Becomes Eclectic" を通じて得たお金(主として番組放送権料の売上ということだろう)が、これ以外のどの番組からのものよりも大きいとも書いてある。Harcourt さんは、トークの内容から相当なインテリであることがわかるが、渋い声と落ち着いた語り口で全くと言っていいほど厭味がない。そして、或る時期から商業主義一辺倒に傾いたままの音楽ラジオが多い(と、日本にいてもしばしば耳にする)米国で、彼が番組でかける曲の多彩さはかなり特異だ。ウェブ上で公開されている演奏曲目リスト(ページ左上のカレンダーで日付をクリックすると見られる)をご覧になれば一目瞭然。ヒット・チャートをにぎわすいわゆる流行歌はあまり(ほとんど?)かからず、ジャンルでいえばロック(英国その他米国外のもの多数)やジャズから、中南米やアフリカなどの民俗音楽、ときには日本のバンドまで。

余談だが、こうした「真に優れたものを選び取る」という意味での“折衷”、言葉通りの "eclectic" な音楽番組のスタイルは、やはりなんといっても先日惜しくも急逝した John Peel(関連拙稿1, 2)を嚆矢とするのではないか。日本のマス・メディアに登場して以来、私が勝手に(敬意を込めて)“日本の John Peel”と呼んでいるピーター・バラカンさん(もっとも彼は英国育ちだが)や、この KCRW "Morning..." の Nic Harcourt さんも、あるいは(これまた拙稿を参照して恐縮だが)Radio Paradise の Bill & Rebecca Goldsmith 夫妻(関連拙稿)も、これは私の完全な臆測だが、亡くなった John の影響を案外受けているのではないかという気がする。またそれが文字通りの私の思い過ごしでも、John 亡き後もこうして世界各地で、ジャンルに垣根を設けたり売上至上主義に毒されたりしない、優れた音楽番組が作られているのは、我々リスナー/音楽愛好家にとってはありがたいかぎりだ。

スタジオ・ライヴも観られる(!)

閑話休題。ユニークな選曲にとどまらずいっそう嬉しいことには、この "Morning Becomes Eclectic" ではしばしばスタジオ・ライヴが生放送される。スタジオに招かれるミュージシャンもオン・エアされる曲と同様に多彩で、しかも大半がきちんとアーカイヴされて、ネット経由、オン・デマンドで随時視聴(そう、ものによっては音源だけではなく映像もある)できるようになっている。

私がそもそもこの KCRW の存在を知ったのは、自宅を常時接続にしてから、例によってストリーミングの音楽放送を探してネット上をさまよっていた2年半ほど前のことだった。その折に1998年収録の Joni Mitchell 長時間インタヴュウがアーカイヴされているのを知り、近年ますますメディアと音楽業界嫌いが嵩じている彼女がインタヴュウに応じた "Morning..." という番組のことも、その時初めて知った。KCRW が自分では聴いたことがない優れた音楽を多く流していることがわかって気に入り、(mp3 ストリームでも放送同時リレイをしているので、音質その他の設定が RealPlayer に較べてはるかにしやすい WinAmp で)しばらくこの局ばかりを流していた時期もある。しかしスタジオ・ライヴでの映像も視聴可能だと知ったのはごく最近のことで、Webjay関連拙稿123)のトップ・ページを眺めていて気づいた、judell さん作成のプレイリスト「Morning Becomes Eclectic: Video sessions from KCRW, hosted by Nic Harcourt」に出遭ってから。ぜひ一度この judell さん作成のリストをご覧になってください。日本が世界に誇る強力なスカ・バンド、東京スカパラダイスオーケストラの熱演スタジオ・ライヴ(リンク先から映像/音声アーカイヴへのリンクへ飛ぶと、いきなり大きな音で曲の途中から始まるのでご注意)も視聴可能です。

2004年の終わりに

自サイト内リンクを夥しく張り巡らすようなエントリになってしまい恐縮です。「音楽と読書にまつわる雑感」を掲げながら、実際には読書の成果についてはほとんどまとまった記事にすることができませんでした。本稿は結果的に、自分が本当に気に入った音楽やミュージシャン、バンドの話、それに若干ネット経由での放送についての話題に終始した拙サイトの実態を象徴するような内容になりました。もっとも、自分でサイトを開設した最初の年の終わりとしては、こんなものかもしれないとも思います。

実生活において物を書くことはそれなりにしてきましたが、不特定の複数の方に随時ご覧いただくウェブ上に公開したのは、ウェブログ形式を借りて始めたこのサイトが自分にとっては最初の経験です。筆力のなさは無論のこと、自分の思慮の不足を幾度も痛感しましたが、そうした多数の欠陥・欠点にもかかわらず駄文におつきあいいただいた方々には、感謝すること頻りです。前稿末尾と重複しますが、改めて御礼申し上げます。

それでは、皆様どうかよい年をお迎えください。

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KCRW のライヴ・ストリームは同局公式サイト「KCRW Simulcast」から。別途、報道関係の KCRWworldnews.com と音楽番組の KCRWmusic.com という2つの公式サイトも設けられており、いずれも mp3、asx(Windows Media Player)、ram(RealPlayer)の3つの形式で聴取可能。

"Morning Becomes Eclectic" の放送時間は現地時間で平日の午前9時から3時間、再放送が16時(午後4時)からと深夜2時からとのことで、日本と彼の地との時差は(現地の冬時間で比較して)17時間あるので、それぞれ日本時間に直すと日付けは翌日で深夜2時、再放送1回目が(奇しくも)午前9時、2回目が19時(午後7時)からとなる。

KCRW の音楽関係のアーカイヴ済み音源・映像を一括でリスト・アップしたものを閲覧できないか探してみたが、見つけることができなかった。サイト内検索(やや見づらいが、同局サイトのどの頁からでも、ページ上方右側の「(find it!)」をクリックして到達可能)でミュージシャンやバンドの名前を入力してみると、ヒットがあればリストされて出てくる。スタジオ・ライヴの映像は、いくつか見たかぎりでは演奏風景の撮影としてなかなか堂に入ったもので、このコミュニティ・ラジオ局はいずれテレビ部門も作るのでは……とも思わせる。

最後に、今年拙サイトでとり上げたミュージシャンに関わるもので、KCRW サイト内検索を通じて見つけることができたものを列挙しておこう:

  • Joni Mitchell(関連拙稿12)の Taming the Tiger (1998) リリース時期、1998年3月27日放送の40分強に及ぶインタヴュウ(音声のみ)。

    セールスしか考えない音楽業界への痛烈な批判を展開しており、その意味では意気軒昂な Joni の肉声に接することができる(私自身の好みを言えば、Joni のこのアルバムは全然ピンと来ませんでした)。番組の尺は約50分、"Morning Becomes Eclectic"。インタヴュアの名前は私には聞き取れませんでしたが、jonimitchell.com の関連ページによれば Chris Douridas さんとのこと。

  • Rachael Yamagata(関連拙稿)のスタジオ・ライヴ。間に Nic Harcourt さんとのインタヴュウを挟んで、かなり水準の高い演奏を聴くことができる。約43分。バッキング・ミュージシャンの構成もなかなかユニークで、アコースティック・ギター1、チェロとヴァイオリン各1、それに Rachael 自身のピアノ/アコースティック・ギター/タンバリン/マラカスなどの4人編成。

    インタヴュウでは、一番最初に手にした楽器は子供の頃のフルートで、練習中息が切れて気絶ばかりしていたエピソード、デビュウ盤を作る前に200曲超の自作曲があったが、実際に録音したのは18, 9曲くらい、子供の頃の家ではよく Carpenters が流れていて聴いていた……等々。

  • David Sylvian(関連拙稿12)がそれまでの自身の音楽キャリアを総括したコンピレイション、Everything and Nothing (2000) リリースから2年以上経過したの時期、現時点での最新作 Blemish (2003) 発表前後の2003年8月23日放送インタヴュウ(音声のみ、約36分)。番組は "New Ground"、インタヴュアは上記で Joni Mitchell にインタヴュウしていた Chris Douridas さん。

    大手音楽レーベル Virgin との契約を打ち切って自分のレーベルを設立するに至った経緯、Everything... 音源制作時の話題、新作 Blemish は米国北東部、ニュー・イングランドの元はアーシュラムとして使われていた建物群のひとつを録音スタジオに改装して、ほとんど籠り切りで作った、できるだけ即時的・即興的("immediate, ... spontaneous")に音楽を創ることを重視した、ギターでコードを鳴らしたものを録音、それをプレイ・バックしてその場で歌詞をつける、書き上げた歌詞を読み返してまた音を創るというプロセスをくり返した……等々。

  • リストされているだけで残念ながら本稿執筆時点で実際に聴くことができないのだが、ebtg(関連拙稿12)の二人が揃って出演した(らしい)ゲスト DJ ミックス。1996年11月14日付でかなり古い。

  • おまけで、先日コンピレイション回顧盤 Catch the Breeze (2004, 2CDs) を入手して初めてその音にふれ、かなり良かった Slowdive が解散後、ほとんどのメンバーが参加して新たに結成した Mojave 3 のスタジオ・ライヴ。約43分、"Morning Becomes Eclectic" で2003年11月13日放送。

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誠に申し訳ありません、再度の移転を検討中です

御注意〕 本稿は(執筆時点で)そこからの移転を検討している元のサイト http://moondial.jugem.cc/ に関することです。

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真正誘眠剤? mp3 ストリーミング:sleepbot

SHOUTcast のディレクトリ、アンビエントのリストをみると常時10位から20位くらいの間にランクされているので、この局の名前だけは知っていたのだが、ようやく5, 6週間ほど前からまとまった時間、このストリームを流しながら本を読んだり、夜中にぼーっと聴くともなしに聞いている。実に快適で、神経に障らず邪魔されることがない。それでいて耳を傾けると聴き応えがある。再開後も好調に放送を続けている BlueMars/CryoSleep(→関連拙稿1, 2, 3)以来、久々に水準の極めて高いアンビエント音楽ストリームに新たに出遭った。

標記の sleepbot(リンク先は同局公式サイト、トップ頁) は、正式には sleepbot environmental broadcast というようだ。大元は米国サン・フランシスコ在住のプログラマ、Dan Foley(リンク先は同氏の履歴(resume))さんが運営している Ambience for the Masses(大衆のためのアンビエント)というウェブサイト。この Ambience for the Masses は、今年11月15日で500枚めのアンビエント音楽アルバムをレヴュウした(? あるいは聴いた)という。実際にかなりの数のアルバム評が音源サンプル付きで公開されており、レヴュウと音源いずれも、私自身最近入手したCDを実際に買う前にいくつか参考にさせていただいた。

アンビエント音楽に特化したこのストリーミング局の水準が「極めて高い」と私が冒頭言ったのは、上掲関連拙稿1で書いたような意味合いでのことだ。局名がすべてを示唆している(にもかかわらず、自分がなかなか聴いてみようとしなかったのは、ビットレイトが56kbpsと音楽ストリーミングにしては(現在では)低めであったせいか)。同局トップ頁にはこんなことが書いてある:

目覚まし時計をセットしたら、これ〔ストリーミングへのリンク〕をクリック

これまでに創り出されたなかでも最も眠りに値する(sleep-worthy)曲をランダムな順序で順次流しています

そのすぐ下に引いてある(San Francisconi からとあるが未詳)引用もちょっと笑える:

Yahoo はかなりいいし、Hotmail もまずまずだ。
でも sleepbot は実際に役に立つよ。

要は「あなたを快適な睡眠へと誘うに足るアンビエント音楽」ということだが、うっかりしてかあるいは謳い文句どおりにか、私もこのストリームを流しながら横になっていて、PCを終了させるのを忘れて眠り込んでしまった経験を幾度かした。

BlueMars/CryoSleep と顕著に異なるのは、この局のストリームには時々いわゆる「found sound」(自然音?)が曲間にミックスされていることがある点だ。波の音だったり、鳥のさえずりだったり、雨音だったり、それが場合によっては数分続くこともある。それでもほとんど違和感がない。また番組(サイトの記述によれば、現在 disc 1 から disc 7 まで。私はたぶんまだ全部を聴き尽くしていない)によっては、グレゴリオ聖歌や静かな西洋古典音楽、またほとんどポップスと呼んでいいヴォーカル入りの曲までかかることもある。これはどうやら季節ものの“特別番組”らしい。クリスマスと Samhain (の前後?)には特別編成があるとのこと。(これは個人的には良し悪し……)

Samhain は、10月31日夜。読みは“サウウィン”らしい。見慣れない言葉なので漠然とユダヤ暦かと思っていたが、改めて調べるとケルト起源の祝祭のひとつで、死者を思い出す日という。原義は「夏の終わり」、現代の習俗ではハロウィーンと重なっている。Wikipedia 日本語版「ハロウィン」の項、また英文ではたとえば Celtic Spirit「Samhain」 などを参照。ウェブ上でざっと調べたかぎりでは、現在はペイガニズム(Paganism, 多くは父性偏重のキリスト教に対抗して女神信仰を重視し、また魔術・呪術・薬草による民間療法などの要素を含む、さまざまな宗教)で実践されているようだ。

演奏曲目リストは「Recent Playlist」に掲載されている。演奏中の曲から溯って12曲を列挙。さすがにアンビエントなので、わずかこれだけの曲数で演奏時間が数時間にわたっていることもある。また、肝腎のストリームへのリンクは上掲の同局公式サイト、トップ頁にある(が、ややわかりづらいので失礼して、こちらから)。音質は、私の予断に反して非常にいい。ストリーム自体はきわめて安定しているが、まれに数時間にわたってサーバが落ちていることもある。

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Webjay 無事復旧

前回拙稿既報の、クラッキングにより閉鎖されていた Webjay は、その後無事に復旧した。ちんねんさんからも、同拙稿にコメントでお知らせいただいた。ありがとうございました。

サイトのプログラムは最終バックアップ時点のやや古いものを使用しており、バグ報告などを募集中。

今回のクラッキングに関して急遽設置されたウェブログ(今後の更新はない由。当面そのままに置いておくのか、本稿執筆時点では閲覧可能)で、Webjay を主宰する Gonze さんが「データベース部分は無事」と言明していたように、プレイリストもクラックされる前のものが閲覧・利用できるようだ。

私事で恐縮だが、先週末から拙宅のADSL回線が突然まったく不通になった。ISP に対処を依頼し、12月7日夜にようやく不安定ながらごく短時間の断続的な接続が確立される程度まで改善、その時点で Webjay サイトの復旧を確認できた。当初の予定で12月6日(月曜日)復旧を目標にしている旨の記事が Gonze さんのウェブログに出ていたが、その後の記事で見るかぎり、スケジュールとおり月曜日には復活を果たしていた模様。

奇しくも、あって当然のようにふだん思っているものが満足に使えなくなる事態が重なった(もっとも、私自身は Webjay をそれほど頻繁に利用していたわけではなかったのだが)。回線はまだしばらく不安定な状態が続きそうなので(いま接続は“1回当たり”せいぜい5分弱しか続かず、数分途絶してまた繋がるという状態で、ストレスが溜まること甚だしい)、少なくともあと数日はネットを使わないで済むことを片付けろということかもしれない。

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